海洋と地球の学校 委員長 中尾 美紗子 

東北大学理学部地球惑星物質科学科3年

 

  自然豊かな日本に暮らしていると、地震・火山・津波など数多くの自然災害に見舞われます。それらは甚大な被害をもたらす一方、私たちは、私たちの暮らす地球がこんなにも活動的であることに驚かされ、その現象の不思議さに疑問をもたざるを得ません。

   昨年度、学生主催で発足した「海洋と地球の学校」は、学部学生から大学院生、地球科学に関心のある人なら誰でも参加することのできる地球科学に関する分野横断型の勉強会です。地球科学は総合科学そのものであり、そのシステムを時間的・空間的に捉えるためには物理・化学・生命科学・工学・医学等さまざまな切り口からアプローチする必要があります。講義・巡検・議論を通じて、地球科学の本質に迫ることが本勉強会の目的です。

   日常生活の中で自然界の美しさに魅了され、感動を覚えた体験は誰もがあると思います。ここで言う感動とは、机上で学んだ法則や既知の事実が自然の中で実際に成り立っていることを知ることです。その体験は私たちの思考力を養い、知識を結びつける手助けとなります。さらに、対話を通じてその体験を共有することで、ある現象に対して自分がそれまで築いていた認知構造を再構築することができます。この過程は、私たちに自然科学の深い理解をもたらしてくれるでしょう。

   技術が日々進歩し、これまで捉えることの出来なかった地球の姿を様々な角度から見ることが可能になりました。自然科学を探求すること、すなわち、自然が科学によってどのように描かれているのかを知ることは、私たちが地球で暮らしている以上、欠かすことができません。しかし同時に、自然科学を探求することは 私たちの生活をより豊かなものにします。

  海洋と地球の学校2016では、「災害を見つめ、明日の地球科学を考える」をテーマに地震・火山・津波・水災害・土砂災害について勉強します。私たちは自然とどのように向き合うべきなのか、今後の地球科学は私たちに何を与えるのか、一緒に考えましょう。



海洋と地球の学校 副委員長 高橋 菜緒子 

東北大学理学部地球惑星物質科学科3年

 

 2011年3月11日の東日本大震災から今年で早5年が経ちます。昨年は、仙石線の全線開通や新女川駅の開業などがあり、復興の前進を感じました。一方、沿岸部のほとんどは建築の禁止あるいは制限された区域に指定され、何もない更地が残されています。この情景を目の前にしたとき、自然の威力を痛感すると共に、甚大な被害を軽減する方法はなかったのかと悔やまれてなりません。

 災害大国日本にいる私達は災害について見つめ直し、理解を深めることが重要です。そのような意味も込めて私達は今年度海洋と地球の学校のテーマとして「災害」を設定しました。政治、産業、町づくりなど様々な観点で災害を捉えることが可能ですが、海洋と地球の学校2016では、災害の発生メカニズムつまり災害の根本的な部分を地球科学の視点から捉え、災害科学の現状を把握していきます。さらに、巡検では東日本大震災の被災地を訪れ、実際に自分の目で被害の大きさや復興の進行状況を確かめていきます。

 しかし、災害に関する知識をどんなに得ても、それが情報として発信され後世へ受け継がれなければ減災・防災には繋がりません。海洋と地球の学校で得た知識が、"いきた知識"となるべく、社会のシステムの中での活用法を参加者全員で考えていきましょう。

 

 最後に、一昨年、私は初めて海洋と地球の学校に参加し、全国から科学に高い関心や志を持つ学生・社会人が、年齢や立場に関係なく熱い議論を交わすことのできる素晴らしさを感じました。海洋と地球の学校は、繋がりを増やすだけでなく、新たな価値観に出会い、自身に刺激をもたらす場となるはずです。このような勉強会を継続するためには、実行委員会だけでなく参加者の皆さんのお力も必要です。是非私達と共に海洋と地球の学校をつくりましょう!多くの方のご参加心よりお待ちしております。